カヤック遠征日記 24日目
コックピットが海水でいっぱいになった、ちょっと不安定なビーチランディングを終え、今日の長時間にわたるパドリング終了。僕はカヤックを岩の多いビーチへと引き上げる。歩き続け、タイドラインから離れて行く、足の裏に感じる感触がだんだんと変化して行くのを感じる。岩から砂利へ砂利から砂へと…。この場所を今日のキャンプの場所にした。振り返ると、このビーチには足跡一つなく、他にだれもいない。その光景に驚かされる。ここは完全に無人島でここにいるのは僕一人だけだ。それが分かった瞬間、僕は少しその場に止まって大きく深呼吸し、この経験をかみしめた…水色の空に雲がかかり、まるでさらっと絵の具をぬったっような一面の広い空。山々が海の向こうに顔を出す。高々とそびえ立つ山が地平線へとだんだん姿を消して行く。このビーチはほんの50mくらいの幅しかなく、周りは崖に囲まれている。奥行きは20mくらいでそれより先は生い茂った林:このオアシスは予定していた目的地ではなかったんだけどな。
漕ぎ始めてから数時間後、遠くにぼんやりと見える半島の形とデッキに取り付けてある印刷した地図を取り、見比べる。姫越山から広がる半島の少し手前に小さなキャンピングビーチがあり、そこを僕の今日の目的地にと決めた。3~5m/sの弱い風が僕の後ろから吹き、波がおどる。そのせいで進むスピードが落ちるが、無理に予定に合わせる必要はない。 Continue reading